ハブダイナモでLEDライトを点灯させる
夜間や早朝(日の出前)にロード練習をしようと思い立ち、シマノの新しいハブダイナモ DH-3N70 (定格 6V 3W)でホイールを組んだ。このハブダイナモ用のライト LP-R600 (12V 5Wバルブを使用)がシマノから発売されているのだが、純正品を買って付けるだけではおもしろくない。そこで、最近市販されつつある超高輝度LED(発光ダイオード)を搭載した電池式ライトを流用し、ハブダイナモで点灯させることを試みる。(2004年1月現在、自転車のハブダイナモに対応したLEDライトはまだ市販されていない)
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LEDライト
通販サイトをいろいろ見ていたら GENTOS SuperFire SF-501 という製品が目にとまった。LEDは
Luxeon 5W Star であり、数字の上ではシマノ純正ライトと同程度の消費電力。これならなんとかなるのではないかと思い、あまり考えずに購入。電池はCR123Aが3個(計9V)。この電池で点灯させてみると普通のLEDライトとは一線を画す明るさ。fu-ja氏のサイト
ライトマニアに掲載されたランタイムテストによると、初期の明るさが2時間以上は維持されるらしい。しかしロード練習だとせいぜい1回分の時間に過ぎない。CR123Aは価格が高いので電池での運用は不経済。やはりハブダイナモで点灯させたいところ。
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ハブダイナモの特性
シマノ・ハブダイナモDH-3N70は定格 6V 3W だが、出力は当然スピードによって変化するし、負荷(ライト)によっても変化する。そもそも、このLEDライトを点灯させるだけの能力があるかどうかさえ不明。そこでまず、出力側に10Ωの抵抗を1個から5個(10〜50Ω)接続し、電圧を測定することによって出力を計測してみる。ハブダイナモは交流発電機なので交流電圧を測る。
なお、この実験の先立ち、Webサイトライトスタッフの『ハブダイナモの特性を測定する』は大いに参考になった。
屋外を走行しながらの計測は難しいので、ローラー台を使用する。固定式ローラー台しか持っていないので、そのままではハブダイナモを回すことができない。そこでハブダイナモのホイールを振れ取り台にセットし、タイヤの接地面をローラー台にセットした後輪と密着させることによって後輪とともに回るようにする。ローラー台には負荷をかけず、ペダルを手で回せるようにする。抵抗値を変えて電圧を測定した結果は次のようになった。右図の出力は電圧からの算出値。
(速度は700cのホイールを想定)
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この結果から、負荷抵抗が小さいと電圧・出力とも頭打ち傾向となることがわかる。負荷抵抗が大きいと高速時に大出力が得られるが、スピードによる変化が大きくなる。
次に、LEDを点灯させるには直流が必要だがハブダイナモの出力は交流なので、ダイオードブリッジとコンデンサで簡単な整流回路を作り、整流後の直流電圧を測定した。下図の電流と出力は計算値である。
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ダイオードブリッジによる電圧降下のため、得られる出力はやや低下している。また、得られる電流の最大値は
0.55A程度であることがわかる。
LEDライト SF-501で使用する電池の定格は9V。実際は電池に内部抵抗があり、点灯中に電極にかかる電圧を実測すると
7.7V 程度だった(数分使用後の電池)。このときの電流は0.73Aだったが、同程度の電流をこのハブダイナモから得るのは難しいことがわかる。また、みかけの負荷抵抗は10.5Ωとなるため、ハブダイナモを仮に直結してもそれほど高い電圧はかからないことが予想される。
このライトには定電流回路が内蔵されている(ライトマニアあぷろだ参照)ため、単なる抵抗負荷と見なすことはできない。しかし以上の実験結果より、このダイナモは10Ωの負荷では5V付近で定電圧に近い特性であることから、整流後にライトを直結しても壊れないのではないかと考えられる。
整流しただけで直結してみる
ハブダイナモからの出力を整流してライトに直結し、壊れないかどうか(欲を言えば明るく点灯するかどうか)を確認するため実験を行った。電圧と電流を測定し、消費電力を求めた。
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20km/h以上でほぼ定電圧 6.6Vとなった。これは電池駆動時の電圧より低い。そのため消費電力も小さく、明るさは電池駆動よりもやや暗い。しかし低速でもそれなりの明るさ(20km/hで3W)になるし、高速走行でもライトが壊れる心配はなさそうだ(保証なし)。
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| 電池の代わりに装着するDCコネクタ付きキャップ。ペットボトルのふたを利用。 | キャップをビニルテープで固定。 |
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| 整流にはショットキー・バリア・ダイオードを使用。スイッチはAC入力をON/OFFする。ヒートシンク内にはパワートランジスタ。 | ライトと接続したところ。右側の黒いコネクタはダイナモに接続する。グレーのスポンジはフレームに取り付けるときのクッション。 |
過電圧対策
LEDライトを点灯させているときは出力電圧が6.6V付近でほぼ一定に保たれている。しかし走行中にライトのスイッチを切ったり、接触不良などで無負荷となった場合、平滑コンデンサに過電圧がかかって破裂する恐れがある。また一時的な接触不良の後に接触が回復した場合、その瞬間にコンデンサの高電圧によってライトが壊れる可能性がある。通常なら3端子レギュレータによって定電圧に保つところだが、これでは出力側の電圧が下がってしまう。低ドロップタイプを用いても電圧降下は避けられない。かといってツェナーダイオードだけの定電圧回路では許容損失が小さいため(通常は1W以下)、ハブダイナモの出力に耐えられない。そこでツェナーとパワートランジスタを組み合わせ、ある電圧を超えた場合の電力消費をトランジスタに受け持たせるようにした。上の写真ではヒートシンクが内部にあり、放熱性はとても悪い。これはあくまで一時的な接触不良など短時間の無負荷対策であり、ライト本体のスイッチは常時ONであることを前提としている。
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回路図の例。無負荷時にVZ+VBEが7.7V(電池駆動時の電圧実測値)を超えないようにVZを設定。SF-501が正常に点灯しているときはVOUT=6.6Vなので、トランジスタによる損失は生じない。
まとめ
後日談
夜に走っていたら、コウモリがライトにぶつかってきた。どうやらライト内の回路辺りから超音波が出ているようだ。SF-501を電池で点灯させているときに同じことが起きるかどうかはわからないが、ハブダイナモの出力を整流してSF-501の電源とした場合は、この種の動物を刺激するような音色の超音波が出るのかもしれない。コウモリは餌の昆虫(蛾など)を捕まえるときに、超音波を発してその反射波を捕捉するらしい。この音波に近いものがライトから出ている可能性がある。