POLAR純正でない赤外線インターフェースでデータ通信

ポラールの心拍計 S710i や S720i などは心拍、スピード、ケイデンスなどを記録し、それらをパソコンに転送することができる。その通信には赤外線インターフェース(IrDA)を用いる。筆者はこれまで IrDA インターフェースを有する東芝製ノートパソコンを使用してきたが、通信中にときどきエラーで中断することがあった。この現象は夏の暑い時期に起きやすいように思えたので、試しに心拍計を冷蔵庫で冷やしてから通信してみるとうまくいくようになった。しかしこれでは不便である。また、普段使用するパソコンをデスクトップ PC に移行しつつあるので、こちらでも通信ができるようにしたいが、IrDA は付いていない。そこで USB に取り付ける外付けインターフェースを購入することにした。

IrDA規格に準拠していればどの製品でもポラールの心拍計と通信できそうなものだが、旧型のS710とS710iとの違い(知る人ぞ知る)をみてもわかるように、ポラール製品にはかなりの相性問題がありそうだ。ポラールのWEBサイトにある『データ転送対応一覧』によると、もともとパソコンに内蔵されているものは問題ないが、外付けの場合は純正品でなければだめらしい。しかしこの純正品(IRUSBインターフェース)は定価 8,925円(実売は 8,000円程度)とかなり高価である。データ転送のためだけにこれを購入するのは気が引ける。そこで他社製のものが使用できないか調べていると、2ch掲示板に "アイアール★チョップ!(Ir★Chop!)" という製品が使えるらしい、という書き込みがあった。価格は3,000円程度だったので早速購入してみた。

USB端子と一体型で非常にコンパクト。右側の黒っぽいのが赤外線送受信モジュール。USB2.0対応。 USB接続すると、デバイスの稼働状態とは無関係に青色LEDが常時点灯。ちょっとうっとうしい。

ドライバのインストールにはまる
使用するパソコンのOSはWindows XP Professional でサービスパック2(SP2)を当てている。付属CD-ROMのドライバを入れてみたが、動作しない。デバイスマネージャを見ると、『赤外線デバイス』のところに『USB 2.0 IrDA Bridge』という項目が現れてはいるものの、アイコンに×印が付いている。試しに別のパソコン(Windows 2000)に接続し、ドライバを入れてみると、こちらは正常に認識され、転送もうまくいった。機器の故障ではないことはわかったし、ポラールの心拍計(手持ちのものはS710i)と通信ができることは確認できたので、この点では安心した。

ここで付属CD-ROMのドライバがWindows XPのSP2に対応していない可能性が考えられる。発売元のダイヤテックのWEBサイトを見てみたが新しいドライバは用意されていなかった(2005年7月現在)。デバイスマネージャでプロパティを見てみると、そのデバイスは SigmaTel の STIr42xx と表示されている。そこで同社のサポートページを見てみると、Windows XP SP2に対する注意書きとともに、ドライバがダウンロードできるようになっている。ドライバはSTIR4200用とSITR4210/4220/4216用に分かれている。Ir★Chop!の搭載チップは明記されていないようだが、青色透明のプラスチック製本体から中の基板が見える。型番を見ると SigmaTel STIR4210 と読み取れたので、後者のドライバをダウンロードした。付属CD-ROMのドライバはVersion 1.00.1615 だったのに対し、ダウンロードしたドライバはVersion 1.0.1638 で、新しくなっていた。しかしこの新しいドライバでも Windows XP SP2 では動作しなかった(ドライバが機能しない、あるいはドライバのインストールがうまくいかない)。SigmaTel の注意書きでは、SP2で問題が生じた場合、ドライバをアンインストールしてから再インストール、それでもだめならSP2を再インストールしてからドライバをインストールせよ、と書いてある。

設定にはまる(下の追記も参照のこと)
そこで、Windows XP を再インストールし、SP2 にはせず SP1a にとどめることにした。するとドライバは正常にインストールされ、デバイスが認識されるようになった(デバイスマネージャのアイコンから×印が消えた)。しかし・・・、S710i との通信ができない。そもそも、リンクが確立しない。いろいろと試行錯誤した結果、『USB 2.0 IrDA Bridge』のプロパティの詳細設定で、デフォルトでは "Maximum Speed" が "No Limit" となっているところを、最も低速の "9600" に変更したところ、無事にリンクが確立され、転送もできるようになった。ちなみに S710i とは "Maximum Speed 576000" の設定でもリンクできたが、データのダウンロード時間は短くならなかった。おそらく実際のリンク速度は 9600bps なのだろう。ポラールのサポートページ Support for Polar IR Interface にあるマニュアルを見てみると、純正の赤外線インターフェースの転送速度も 9600bps のようだ。

コントロールパネル→システム→ハードウェア→デバイスマネージャ
→赤外線デバイス→USB 2.0 IrDA Bridge→プロパティ→詳細設定で
デフォルトの No Limit から 9600 に変更

Polar Presicion Performance SWのOptions→Preferences→Hardwareで
IR Communication Port(赤外線通信ポート)は IrDA を選択

まとめ
最近のパソコンには IrDA インターフェースが内蔵されていないことが多い。おそらく、周辺機器との無線通信インターフェースが Bluetooth に移行してきているからだろう。ポラールもいずれは Bluetooth に対応するのだろうか? とりあえず現状では IrDA インターフェースを使うしかなく、純正品の半額以下で同じことができるのなら朗報だろう。

追記
このIr★Chop!はUSB2.0に対応しているはずだが、筆者の環境ではパソコンのUSB2.0インターフェースに接続していると心拍計との通信がどうも安定しない(リンクがなかなか確立しない)ことが多い。一方、USB1.1しか持たない古いノートPCでは安定して使用できる。そこで、USB2.0非対応のUSBハブ(つまりUSB1.1のみ対応)を介してUSB2.0インターフェースに接続してみた(実質USB1.1になるはず)。その結果、きわめて安定して動作するようになった。


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